「退職年金」は、「終身退職年金」と「有期退職年金」に分けられ、年金の2分の1を「終身退職年金」として、残りの2分の1を「有期退職年金」として受給することとなります。
なお、「有期退職年金」については、受給期間は原則20年(240月)ですが、給付事由が生じてから6月以内に手続き(退職年金の請求と同時に行う必要があります。)を行った場合には、その受給期間を10年(120月)とすること、または「有期退職年金に代わる一時金」として受給することも選択できます。
退職年金は雑所得として、一時金は退職所得として扱われ、課税の対象となります。
この一時金を選択して請求する場合は、退職金等の「源泉徴収票」が必要となる場合がありますので、必ず保管しておいてください。
「退職年金」は、各組合員の共済組合加入期間中の掛金の標準となった標準報酬の月額および標準期末手当等の額に付与率※1を乗じた額と利子※2を合算した額(給付算定基礎額)を現価率※3で除して年金額が計算されます。
※1 | 組合員であった方とその遺族の適当な生活の維持を図ることを目的とした給付であること等を勘案して地方公務員共済組合連合会の定款で定められます。 |
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※2 | 国債利回り等に連動させた基準利率(地方公務員共済組合連合会の定款で定められます。)を用いて計算します。 |
※3 | 基準利率や死亡率等を勘案して、終身退職年金・有期退職年金ごとに地方公務員共済組合連合会の定款で定められます。 |
組合員期間中の一時点(積上げ途上)における積立ての試算額を計算式で表すと、次のようになります。
当月末の積立額(試算) ={前月末の積立額×(1+基準利率)1/12}+{当月の標準報酬の月額及び標準期末手当等の額×付与率 ×(1+基準利率)1/12}
(注) | 公的年金制度とは異なり、標準報酬の月額および標準期末手当等の額についての再評価は行われません。 |
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「退職年金」の額は、この付与額と利子の累計額を用いて計算されますが、その際のこれらの総額を「給付算定基礎額」といいます。
「退職年金」の算定の際に用いられる、給付事由が発生した時点での「給付算定基礎額」を計算式で表すと次のようになります。
={組合員期間における各月の標準報酬の月額および標準期末手当等の額×各月の付与率}+{当該各月から退職等年金給付の給付事由が生じた日の前日の属する月までの期間に応じ、基準利率により複利計算の方法で計算した利子の総額}
次のすべての要件を満たしている場合に「退職年金」を受給することとなり、受給権を有する方の請求に基づき、連合会が決定します。
なお、受給権を有する方が「退職年金」の請求を行っていない場合は、受給権を取得した日から起算して10年を経過した日までの本人が希望するときから繰り下げて受給することができます。
また、当分の間の措置として、1年以上の引き続く組合員期間を有し、かつ、退職している方は、60歳から65歳までの本人が希望するときから繰り上げて受給することもできます。
当初決定時の「終身退職年金」の年金額は、次の計算式で計算され、その年の9月30日まで(給付事由が9月1日から12月31日までに生じた場合には、翌年の9月30日まで)の間の年金額とされます。
終身退職年金額= | 終身退職年金算定基礎額※1 |
受給権者の年齢区分に応じた終身年金現価率※2 |
※1 | 終身退職年金算定基礎額:給付算定基礎額×1/2(組合員期間が10年未満であるときは、1/4) |
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※2 | 終身年金現価率:基準利率、死亡率の状況およびその見通しその他政令で定める事情を勘案して、終身にわたり一定額の年金額を受給することとした場合の年金額を計算するための率であり、毎年9月30日までに地方公務員共済組合連合会の定款で定めることとされています。 |
終身退職年金の年金額は、毎年10月1日に、同日における受給権者の年齢区分(3月31日現在の年齢に1歳を加えた年齢を基準とした区分)に応じた終身年金現価率により、次の算式を用いて改定されます。
終身退職年金額= | 各年の10月1日から翌年の9月30日までの間における終身退職年金算定基礎額※3 |
各年の10月1日における受給権者の年齢区分に応じた終身年金現価率 |
※3 | 各年の9月30日における終身退職年金額×同日における受給権者の年齢(各年の3月31日における受給権者の年齢に1歳を加えた年齢)に対して適用される終身年金現価率 |
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当初決定時の「有期退職年金」の年金額は、次の計算式で計算され、その年の9月30日まで(給付事由が9月1日から12月31日までに生じた場合には、翌年の9月30日まで)の間の年金額とされます。
有期退職年金額= | 有期退職年金算定基礎額※1 |
受給残月数※2の区分に応じた有期年金現価率※3 |
※1 | 有期退職年金算定基礎額:給付算定基礎額×1/2(組合員期間が10年未満であるときは、1/4) |
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※2 | 受給残月数:(240月または120月-当該年の9月分までの有期退職年金の受給月数)により計算した受給残月数。ただし、1月1日から9月30日までの間に給付事由が生じた場合は、240月または120月をその年の9月30日までの受給残月数とします。 |
※3 | 有期年金現価率:受給残月数に応じて月単位で設定されます。基準利率その他政令で定める事情を勘案して、受給残月数の期間において一定額の年金を受給することとした場合の年金額を計算するための率であり、毎年9月30日までに地方公務員共済組合連合会の定款で定めることとされています。 |
有期退職年金の年金額は、毎年10月1日に、同日における受給権者の受給残月数の区分に応じた有期年金現価率により、次の算式を用いて改定されます。
有期退職年金額= | 各年の10月1日から翌年の9月30日までの間における有期退職年金算定基礎額※4 |
各年の10月1日における受給残月数に応じた有期年金現価率 |
※4 | 各年の9月30日における有期退職年金額×同年の10月1日における受給残月数に対して同年の9月30日において適用される有期年金現価率 |
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「有期退職年金」の給付事由発生後6月以内(注)に、受給権者が「退職年金」の請求と同時に請求した場合には、20年(240月)または10年(120月)の支給期間の「有期退職年金」の受給に代えて、一時金(計算式は、次のとおり)を受給することができます。
(注) | 終身退職年金の繰下げ受給または繰上げ受給を行う方で、一時金による受給を希望される方は、繰下げの申出または繰上げの請求の日から6月以内に請求する必要があります。 |
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一時金額=給付事由発生日における有期退職年金算定基礎額 |
なお、この一時金の請求を行った方については、「有期退職年金」の受給権は消滅し、「有期退職年金」の受給もできません。また、他の給付が過払いとなっている場合における一時金での支給額の調整、掛金や厚生年金保険料の給付金からの控除などの取扱いについては、他の年金給付における取扱いと同様です。
「有期退職年金」は20年(240月)または10年(120月)の間に限って受給することとされていますが、この受給期間が終了する前または受給開始前(組合員である間を含みます。)に受給権者または組合員(1年以上の引き続く組合員期間を有する方に限ります。)が死亡した場合には、受給していない期間分の「有期退職年金」の額に相当する額を一時金として、その方の遺族が受給することができます。
この場合において、この死亡を同一の事由とする公務遺族年金の受給権を併せて有することとなるときには、遺族の方が選択するいずれか一方のみを受給することとなります。
「有期退職年金」の受給者が死亡したときの一時金の額
一時金額= | 死亡日における 「有期退職年金額」 |
× | 同日における受給残月数の区分に応じた有期年金現価率 |
退職年金を受給していない者が死亡したときの一時金の額
一時金額= | 死亡日における 給付算定基礎額 |
× | 1/2(組合員期間が10年未満である者が退職後に死亡した場合は1/4) |
※ | 組合員期間が10年未満の方が組合員である間に死亡した場合は除きます。 |
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1年以上引き続く組合員期間を有する方が、定員の改廃により廃職を生じたこと等により退職(いわゆる整理退職)した場合には、本人が予期していなかった事情により退職せざるを得なかったことを考慮して、65歳(当分の間60歳)未満であっても「退職年金」のうち「有期退職年金」については、年金としての受給に代えて、退職日において計算される給付算定基礎額の2分の1に相当する金額を一時金として前倒しで受給することができます。
なお、この一時金は、整理退職した日から6月以内に請求する必要があり、一時金の請求を行った場合には、「有期退職年金」の受給権は消滅し、「有期退職年金」の受給もできません。
また、他の給付が過払いとなっている場合における一時金での支給額の調整、掛金や厚生年金保険料の給付金からの控除などの取扱いについては、他の年金給付における取扱いと同様です。
一時金額=当該退職日における給付算定基礎額×1/2※
※ | 組合員期間が10年未満であっても「1/4」にはなりません。 |
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「退職年金」の受給権を有する方が「退職年金」の請求を行っていない場合には、受給権を取得した日から起算して10年を経過した日までの間に「退職年金」を繰り下げて受給する申出をすることができます。この場合、申出の翌月から「退職年金」を受給することができます。
この繰下げの申出については、「終身退職年金」と「有期退職年金(有期退職年金に代わる一時金も含みます。)」を同時に行うことになります。
なお、繰り下げて受給する場合には、給付算定基礎額を計算する際の利子相当額が受給申出時点までで計算されるため、その分、終身退職年金算定基礎額および有期退職年金算定基礎額が増額され、さらに、「終身退職年金」の場合は、一般的には終身年金現価率が低くなるため、結果として、1年間に受給する年金額は、増額されます。
当分の間、1年以上の組合員期間を有し、かつ、退職している者は、60歳以上65歳に達する日の前日までの間の希望するときから、「退職年金」を繰り上げて受給することができます。
この繰上げの請求については、「終身退職年金」と「有期退職年金(有期退職年金に代わる一時金も含みます。)」を同時に行うことになります。
ただし、繰り上げて受給する場合には、給付算定基礎額を計算する際の利子相当額が請求日時点までしか計算されないため、その分終身退職年金算定基礎額および有期退職年金算定基礎額が減額され、さらに、「終身退職年金」の場合は、一般的には終身年金現価率が高くなるため、1年間に受給する年金額は、減額されます。
次の全ての要件を満たしている場合に「公務障害年金」を受給することとなり、受給権を有する方の請求に基づき、連合会が決定します。
なお、通勤災害は対象となりません。
※1 | 該当する病気または負傷に係る傷病について初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいい、平成27年10月1日以降に限ります。 なお、平成27年10月1日前に初診日がある傷病(通勤災害による傷病を含みます)については、別途、経過措置で支給される職域部分(3階部分)の対象となります。 |
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※2 | 次に掲げる日のいずれかの日をいいます。
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※3 | 厚生年金保険法における障害等級と同じです。 |
「公務障害年金」の年金額は、次の計算式で計算されます。
下記の表は横にスクロール出来ます。
公務障害年金額= | 公務障害年金算定基礎額※4 | ×調整率※7 |
受給権者の年齢区分※5に応じた終身年金現価率※6 |
各年度の年金額については、「調整率」※7に基づき、国民年金並びのスライド改定が行われます。
ただし、上記により計算した金額が、次の障害等級に応じた額より少ないときは、それぞれの額が年金額となります(最低保障)。
※4 | 公務障害年金算定基礎額 は、次の1または2のいずれかになります。 なお、使用する組合員期間は、すべて平成27年10月1日以降のものに限ります。
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※5 | 「公務障害年金」の給付事由が生じた日における年齢を基準とした区分となります。 ただし、64歳(当分の間59歳)に満たないときは、64歳(当分の間59歳)を基準とした区分となります。 |
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※6 | 基準利率、死亡率の状況およびその見通しその他政令で定める事情を勘案して、終身にわたり一定額の年金額を支給することとした場合の年金額を計算するための率であり、毎年9月30日までに地方公務員共済組合連合会の定款で定めることとされているもので、「公務障害年金」の場合には、給付事由が生じた日において使用した率を受給権が消滅するまでの間、使用します。 | |||
※7 | 次の計算により求めた率です。
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※8 | 「公務障害年金」の受給権者が有する障害厚生年金等および政令で定めるその他の年金の額のうち最も高い額をいいます。 | |||
※9 | 「退職年金」の受給権者である場合には、終身退職年金算定基礎額※10×2(組合員期間が10年未満の場合は、×4)になります。 | |||
※10 | 給付算定基礎額×1/2(組合員期間が10年未満であるときは、1/4) |
次のいずれかに該当したときにその遺族※1が「公務遺族年金」を受給することとなり、受給権を有する方の請求に基づき、連合会が決定します。
なお、通勤災害は対象となりません。
※1 | 遺族の範囲および要件は遺族厚生年金に係る遺族と同様になりますが、例外として、消防職員、警察職員等職務内容の特殊な職員が、生命または身体に対する高度の危険が予測される状況下において一定の職務を遂行し、そのため公務上死亡(以降、「特例公務による死亡」といいます。)した場合には、その死亡した者と生計を共にしていた配偶者、子および父母は、遺族厚生年金の遺族の要件に当てはまらなくても、遺族に該当するものとして扱われます。 なお、この場合、夫および父母に関しては「死亡時55歳以上」の要件も必要がなく、また、1・2級の障害状態にある子および孫については20歳になっても失権しません。 |
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※2 | 該当する病気または負傷に係る傷病について初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。また、初診日がない場合には、該当する傷病の発した日をいいます。なお、いずれの日(これらの日が、平成27年10月1日前である場合については、別途、経過措置で支給される職域部分(3階部分)の対象となります。)であっても平成27年10月1日以降である必要があります。 |
「公務遺族年金」の年金額は、次の計算式で計算されます。
下記の表は横にスクロール出来ます。
公務遺族年金額= | 公務遺族年金算定基礎額※3 | ×調整率※6 |
死亡日の年齢区分※4に応じた終身年金現価率※5 |
各年度の年金額については、「調整率」※6に基づき、国民年金並びのスライド改定が行われます。
ただし、上記により計算した金額が、次により計算した金額より少ないときは、この計算による金額が年金額となります(最低保障)。
1,038,100円×各年度における国民年金法の改定率-厚生年金相当額※7
※3 | 公務遺族年金算定基礎額は、次の1または2の額となります。 なお、使用する組合員期間は、すべて平成27年10月1日以降のものに限ります。
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※4 | 「公務遺族年金」の給付事由が生じた日における年齢を基準とした区分となります。 ただし、64歳(当分の間59歳)に満たないときは、64歳(当分の間59歳)を基準とした区分となります。 |
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※5 | 基準利率、死亡率の状況およびその見通しその他政令で定める事情を勘案して、終身にわたり一定額の年金額を支給することとした場合の年金額を計算するための率であり、毎年9月30日までに地方公務員共済組合連合会の定款で定めることとされているもので、「公務遺族年金」の場合には、給付事由が生じた日において使用した率を受給権が消滅するまでの間、使用します。 | |||
※6 | 次の計算により求めた率です。
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※7 | 遺族厚生年金等および政令で定めるその他の年金の額または政令で定める額のうち最も高い額をいいます。 | |||
※8 | 「退職年金」の受給権者である場合には、終身退職年金算定基礎額×2(組合員期間が10年未満の場合は、×4)になります。) |
(ア) | 死亡したとき |
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(イ) | 婚姻したとき(届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含みます。) |
(ウ) | 直系血族または直系姻族以外の者の養子となったとき |
(エ) | 死亡した組合員との親族関係が離縁によって終了したとき |
(オ) | 受給権を取得した当時30歳未満である妻に支給する「公務遺族年金」で、同一の給付事由による遺族基礎年金の受給権を取得しないまま5年が経過したとき |
(カ) | 同一の給付事由による遺族基礎年金の受給権が30歳未満で消滅した妻に支給する「公務遺族年金」で、受給権消滅後5年が経過したとき |
(キ) | 子または孫(障害等級1級または2級の障害者である子または孫を除きます。)が、18歳の年度末に達したとき |
(ク) | 障害等級1級または2級の障害者である子または孫が、18歳の年度末以降20歳に達するまでの間に障害が軽快したとき、または障害を有したまま20歳に達したとき(特例公務による死亡の場合は20歳に達しても失権しません。) |
「退職年金」の受給権者が組合員(退職等年金給付制度が適用されない短期組合員を除きます。)である間は、全額支給停止(「有期退職年金」は中断)となります。
再退職後の「退職年金」の額は、再就職期間中の利子相当額および再就職期間に係る給付算定基礎額が加算され、終身退職年金算定基礎額および有期退職年金算定基礎額の両方が増額するため、「終身退職年金」および「有期退職年金」は、両方とも増額改定されることになります。
なお、「有期退職年金」は再退職後において、既に受給された月数を除いた残月数の受給が再開されることとなります。
複数の「退職等年金給付」の受給権が生じたときは、本人の選択によりそのいずれかを受給することになります。ただし、「退職年金」と「公務遺族年金」は併給が可能となっています。
また、「退職等年金給付」のほかに平成27年10月1日前に既に地方公務員共済組合法に基づき受給権が生じている年金(既裁定年金)や同日以後に受給権が生じる旧職域部分(旧3階部分)についても、既裁定年金の職域部分(3階部分)や旧職域部分(旧3階部分)との間でいずれかを選択し受給することになります。
なお、厚生年金との関係では給付事由が異なっても併給が可能となっています。
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